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立ち読みコーナー『監督官がやってくる!』

『監督官がやってくる!』

<第2章>労働基準監督署の調査から措置の流れ

割増賃金の正しい計算方法

時間外手当の支払い方~基礎賃金から除外して良い手当とは

割増賃金とは?

労働基準法では、1週40時間、1日8時間(休憩時間を除く)を超え、または週1日の法定休日に働かせる場合は、36協定を締結し、労基署へ届け出ること、そして割増賃金を支払うことが定められています。

法定労働時間を超えた労働には2割5分以上の割増賃金、法定休日の労働には3割5分以上の割増賃金が必要です。

さらに、午後10時から午前5時までの労働(深夜労働)には2割5分以上の割増賃金が必要になります(時間外労働、または休日労働に深夜労働が重なった場合の割増賃金は、それぞれ5割以上、6割以上の割増)。

除外されている手当とは?

通常の労働時間の賃金の中には、家族手当、通勤手当のように、労働と直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支払われる賃金があります。これらをすべて、割増賃金の基礎にしてしまうと、家族の人数、通勤距離等個人的事情に基づく手当の違いによって、それぞれに差が出てしまうことになります。

このことから、労働基準法施行規則21条では、割増賃金の時間単価を計算するときの基礎賃金から、除外することができる手当について規定されています。
「法第37条第4項の規定によって、家族手当及び通勤手当の他、次に掲げる賃金は、同条第1項及び第3項の割増賃金の基礎となる賃金には算入しない」

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われた賃金
  7. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

これらは単なる例示ではなく、限定的に列挙されたものですから、これらに該当しない賃金は、全て割増賃金の基礎賃金としなければなりません。

また、上記の手当が支払われていた場合であっても、実際にこれらの手当を除外するにあたっては、単に名称によるものでなく、その実質によって取り扱うべきものとされています。